アンカーの話をしよう。

リレー競技の最終走者の話ではありません。船舶の碇の話でもありません。ましてや,ニュースキャスターのことでもありません。ライズがする話ですから,もちろん「アースアンカー」,「ロックアンカー」あるいは「地盤アンカー」などと呼ばれてきた,いわゆる「グラウンドアンカー工法」のお話です。

そもそも「アンカー」といえば,建設事業の分野では,土留め壁や開削法面などの「仮設」支保工として,古くから利用されてきた工法なのですが,30年程前からは「永久」やら「本設」などという枕詞が与えられるようになり,今日では様々な本設構造物(仮設ではない構造物)の支保工として,あるいは防災工事の主要な恒久対策工として,至極当たり前に使用されております。また,私事で恐縮なのですが,ライズは建設業界の片隅で約30年間お世話になっておりまして,この業界に立ち入った当初の10数年間は,「アンカー」の新工法や施工技術の開発に携わってきましたので,非常に思い入れの強い工法です。もちろん,現在も,法面防護や地すべり対策の設計業務で,何かとお世話になっている工法でもあります。

さて,私の思い入れはともかく,この「アンカー工法」の仕様や構造,設計方法,施工方法に関して,疑問を抱かれたことはありませんか?

例えば,

「アースアンカー,ロックアンカー,地盤アンカー,これらは全て同じ工法なのか?」
「アンカーとロックボルトとは何が違うのか? どのように使い分けるのか?」
「なぜアンカーにプレストレスを導入するのか? 斜めの杭では代用できないのか?」
「多くのアンカー工法が開発されているが,どの工法を選定すればよいのか?」
「アンカーの支持構造物のうち,吹付法枠と独立受圧板はどのように使い分けるのか?」
「地中に造成されたアンカーの性能は,どのように評価するのか?」
「造成したアンカーが抜けてしまった! 抜けた原因は何なのか?」
「永久アンカーの耐用期間は,永久なのか?」

等々・・・

分かっているつもりでも,施主からの質問に対して曖昧な回答をしてしまうことはありませんか? 今さら「細かなことは,よく分かりません。」とは言えませんよね。そこで,”Slip Tips” では,グラウンドアンカー工法の「分かっているはずなんだけど,よくわからない些細なこと」について,ライズが「分かっているつもり」の範囲で解説させていただこうと思います。

 

“Slip Tips” では,今後数回に渡って,グラウンドアンカー工法をテーマとして,ブログをアップしていきます。乞うご期待。(”Slip Tips” にて取り上げてほしい疑問がありましたら,リクエストをお寄せください。お待ちしております。)

さあ,アンカーの話をしよう!

平成 29 年 7 月 18 日 ライズ