当社のブログ “Slip Tips” を執筆させていただく,ブログマスターの「ライズ」と申します。”Slip Tips” では,これまでライズが見聞きしてきた経験の中から,読者の皆さんが斜面設計を行う際に,是非とも思い出していただきたいテーマを絞り込み,テーマ毎に数回に分けてアップさせていただければと考えております。なお,記事の内容に疑問を抱かれたり,不備に気付かれることもあるかと思います。その際には,”Slip Tips” にコメントをお寄せください。皆様からのご意見やご指摘によって,”Slip Tips” の内容を正確なものとさせていただければ幸いです。それでは,今後ともご指導ご鞭撻の程,よろしくお願い申し上げます。
さて,”Slip Tips” 最初のテーマは,・・・
「円弧すべり解析の最小安全率って何?」 です。
ライズに限ったことではないと思うんですが,円弧すべり試行計算による斜面の安定解析結果について,お客様にご説明する際,お客様から,
「円弧すべり解析で出てきた “最小安全率円弧すべり” って,試算したどの円弧よりも安全率が小さいんだから,最も危険で,最初に滑り出す可能性が高いんですよね。」
と念を押されることがあります。そんな時,ライズは,
「概ね正しいかもしれませんが,一概にそうとも言えない場合があるんですよ。」
などと曖昧にお答えしています。
さて,読者の皆さんは,この「最小安全率」という指標について,工学的に何を表している数値なのか,対策工設計においてどのように使用されている数値なのか,明確に認識していらっしゃいますか? ライズは,なんとなく理解しているつもりです。
“Slip Tips” では,ライズにとって非常に曖昧な指標,「最小安全率」について,以下の基本的事項を再認識しながら,その正体を突き詰めていこうと思います。
- 斜面安定解析における安全率の意義
- 円弧すべり試行計算の概要
- 法面抑止工設計における最小安全率・最大抑止力の利用方法と利用上の留意点
- 地すべり対策事業における類似の問題
次回の”Slip Tips”では,「斜面安定解析における安全率の意義」について考察します。
平成26年7月14日 ライズ